世間一般では「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、長崎では「くんちを過ぎたら袷を着る」ということで、10月9日のおくんちを境に衣替えを行なうのが慣わしとのことです。確かに彼岸花が盛りの頃にも一旦暑さがおさまりはしますが、まだまだ9月は暑い日もあり、九州では本格的に冬物を出そうという気になるのは10月初旬かなと思います。
衣替えをするたびに、「ああ、この服はついに出番が無かったな」とか、「この形はいくら何でもこの時代には着る勇気がないなあ」という、気の毒な服が目に留まります。また、逆に出動回数が多くて布がすっかりくたびれてしまったり、色が褪せてしまったものの、愛着があって処分できずにいるのもあります。そんな服はただ徒にスペースを浪費しているだけの「お邪魔虫」だからさっさと処分すればいいと思うのですが、根っからの貧乏性で、先日の案山子作りのようにひょっとして何かの折に使えるかもしれないとか、解いて小物に作り変えたら・・・などと下心満々でまた衣装ケースの底に忍び込ませてしまう・・・、片付け上手さんには決してお見せできない光景です。
気に入った服の中には独身時代や結婚して間もない頃に手に入れ、まだ現役で大活躍というツワモノの服もあり、こすれて色が剥げてしまったボタンを付け替えたり、糸が弱ってほころびてきたところを繕ったりして愛用し続けています。しかし、中には安いからとつい買ってしまったものの、布の裁断が良くないのか着てみると違和感があり、結局一度も活用できないままクローゼットと衣装ケースを半年ごとに往復しているかわいそうな服もあって、そのことを思うともう新しい服を買う気力が失せ、最近はあまり服を買うこともなくなったなあと感じます。若い頃は服が欲しくても、気に入ったデザインのものは高くて手が届かず、いっそ自分で設計して好みの布地を買って作ったほうがサイズもぴったりだし、安上がりだからと、さっさと手作りしていたものですが、最近は細かい針目が見えにくかったり、大きな型紙を広げて裁断するようなことが面倒で、ミシンの出番もめっきり減ってきてしまいました。
衣替えを機に不用品を選別して思い切って処分というのは、三代続きの「捨てられない病」患者が最も苦手とする分野の仕事ですが、まだ元気のあるうちにやっておかなければ・・・と思います。